胃腸の機能改善が期待できる漢方薬は? 選び方のポイント


「少し食べすぎると胃もたれする」「おなかが弱く、常に調子が悪い」と胃腸に関する悩みを抱えている方は、少なくありません。病院で薬を処方されても、なかなか効果が出ないという方も多いのです。

そこで、今回は胃腸の働きを改善する漢方薬をご紹介しましょう。西洋医学と東洋医学では病気に対する考え方が違います。ですから、病院の薬で効果がいまひとつだった人も、漢方薬を服用すれば効果が出ることもあるのです。胃弱を改善したいという方は、ぜひこの記事を読んで参考にしてみてください。

  1. 西洋医学と東洋医学の考え方の違いは?
  2. 漢方薬の服用がお勧めの症状は?
  3. 漢方薬はどこで処方してもらえるの?
  4. 漢方薬を服用する際の注意点は?

1.西洋医学と東洋医学の考え方の違いは?

まず始めに、西洋医学と東洋医学の胃弱に対する考え方の違いをご説明しましょう。胃腸の不調で病院に通っても、改善しないことがあるのはなぜでしょうか?

1-1.西洋医学の胃弱に対する考え方

西洋医学では、胃腸に不調が起こるとまず原因を突き止めます。病気が見つかった場合は、投薬や手術でそれを治療するのです。ですから、「胃潰瘍(いかいよう)」や「胃がん」など原因がはっきりしている不調の治療には適しています。しかし、その反面「特に異常は見つからないけれど、胃腸の調子が悪い」という場合は、治療が難しいのです。このような原因不明の不調の場合、病院では痛み止めなどを処方するしかできません。

1-2.東洋医学の胃弱に対する考え方

東洋医学では、人の体質を何種類かに分類して考えます。胃弱の人は「虚証」に分類されるのです。虚証の人は、胃弱のほかに体力がなくやせ気味(もしくは水太り気味)、筋肉の発達が弱いといった特徴があります。

また、東洋医学では体中を生命エネルギーである「気」が巡っていて、そのバランスが崩れて病気になると考えられているのです。
ですから、漢方薬の力を借りて虚証の体質を改善することで胃弱を改善します。

胃弱の改善は漢方薬の得意分野で、六君子湯(リックンシトウ)や人参湯(ニンジントウ)など胃弱を改善する漢方がたくさんあるのです。最近は、病院でも漢方を使って胃弱を治療するところも少なくありません。

2.漢方薬の服用がお勧めの症状は?

では、漢方薬の服用がお勧めの症状とはどのようなものでしょうか? この項では、漢方薬を服用すると症状の改善が期待できるケースをご紹介していきます。

2-1.病気ではないけれど胃腸が弱い

病院で検査をしても異常はないが、胃腸が弱いという方は漢方薬による体質改善がお勧めです。胃腸が弱いと消化吸収の能力も低いため体力がなく、ちょっとしたことで風邪をひきやすい、ということもあるでしょう。漢方薬を服薬して体質を改善すれば、消化吸収の能力が向上して体力がついてくる可能性もあります。

2-2.病気がきっかけで胃腸が弱くなった

胃がんや胃潰瘍(いかいよう)などがきっかけで、胃腸が弱くなることは珍しくありません。もう治っているはずなのに胃が痛んだり、食欲が回復しなかったりした場合は胃腸の機能が低下していることがあります。また、ほかの臓器との働きのバランスが崩れている場合もあるでしょう。漢方薬を服用して低下した胃腸の機能を回復させたりほかの臓器とのバランスを整えたりすることによって、症状が改善することがあります。

2-3.ストレスで胃腸の調子が崩れている

ストレスで胃腸の調子が悪くなることは、珍しくありません。ストレスを感じると胃が痛くなったり下痢になったりする人は多いでしょう。ストレスを軽減するためには、十分な休養や気持ちの切り替えも大切です。しかし、「つらいけれど、がんばらなければ」というときは、ストレスを軽減させる効果がある漢方の服用も効果的でしょう。

2-4.冷え症などほかの症状がある

胃弱の人は、冷え症や疲れやすいなどの症状を併せ持っていることが多いです。漢方薬を服用することにより、体のつらい症状をまとめて改善することも可能。漢方薬を処方してもらう際に、体のつらい症状をすべて聞いてもらいましょう。そうすれば、それを改善する漢方薬を処方してもらえます。

3.漢方薬はどこで処方してもらえるの?

漢方薬は、病院やドラッグストア、漢方薬局で処方してもらえます。現在は、治療薬の一種として漢方薬を利用する病院も多いのです。病院やドラッグストアで処方したり購入したりできる漢方薬は、「誰にでも効果があるように」調合された漢方薬になります。つまり、市販の薬と一緒ですね。

一方、漢方薬局では薬剤師が一人一人の症状を聞いて脈や舌を診察し、その人に合った漢方薬を処方してもくれます。「自分の症状に寄りあった漢方薬を使いたい」という場合は、漢方薬局を利用してみましょう。

4.漢方薬を服用する際の注意点は?

では最後に、漢方薬を服用する際の注意点をご説明します。病院で処方される普通の薬と何が違うのでしょうか?

4-1.漢方薬にも副作用はある

漢方薬には副作用がない、というイメージを持っている方は多いでしょう。しかし、漢方薬もれっきとした薬です。病院で処方される普通の薬よりも少ないですが、副作用が出る場合もあります。ですから、常備薬がある方は漢方薬局に「お薬手帳」を持参して、飲んでいる薬を説明してください。

また、病院で治療を行っている方は漢方薬を服用したい旨を医師に伝えましょう。飲み合わせを考えた薬を処方してもらえます。

4-2.薬を共有しない

漢方薬局で処方された薬は、その人にぴったりと合った薬です。ですから、同じような症状で悩んでいる人とでも、薬の共有はできません。頭痛薬や風邪薬のように「どんな人に出も同じ効果が出る」というわけではないのです。ですから、漢方薬局で処方された薬は、共有しないように注意しましょう。

4-3.1か月は飲み続けよう

漢方薬の特徴は、効果が現れるまで時間がかかることです。ですから、2~3回使用して効果が出なかったからと服用をやめてはいけません。最低でも1か月は飲み続けてください。胃が痛くてどうしようもないという場合や、下痢が止まらないという場合は即効性がある薬を服用して症状を和らげましょう。

おわりに

今回は胃腸の働きを改善する漢方薬についてご説明しました。

まとめると

  • 胃弱の改善には漢方薬が効果的な場合もある。
  • 胃弱のほかに冷え症や疲れやすいといった症状も改善できる場合もある。
  • 自分に合った漢方薬を処方してほしい場合は、漢方薬局を利用しよう。

ということです。

特に、夏は冷たいものを食べることが多いですから、胃腸の機能が低下しやすいでしょう。胃弱の人にはつらい季節ですね。漢方薬を服用しつつ、胃腸に優しい生活をしましょう。冷たいものを食べすぎず、冷房による冷えすぎは腹巻などをして防いでください。

また、夏はシャワーで済ませる人も多いですが、胃弱の人はゆっくりと湯船につかりましょう。体が温まると副交感神経が活発化して、消化吸収の機能が向上しやすいです。さらに、夏は冷たいビールを飲む機会も多いでしょう。ビールのおつまみは油っぽいものが多いですが、できるだけそのようなものをさけ、豆腐や野菜などを選んでください。

監修者

医心堂薬局 店主 佐竹康秀

佐竹 康秀
医心堂薬局 店主

薬剤師・日本漢方連盟会員・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師

星薬科大学を卒業後、漢方の道へ。同時に鍼灸の勉強も開始。平成4年に医心堂薬局を開局。漢方歴33年・鍼灸歴30年
「それは本当に患者様のためですか?」を常に考え治療をしている。

医心堂薬局総本店店 石川篤

石川 篤
医心堂薬局総本店 店長

薬剤師・日本漢方連盟会員・生活習慣病予防士

東京薬科大学卒業/漢方歴24年
「お客様の笑顔」を創出するため、漢方だけでなく食事・考え方など、一人一人に合ったアドバイスを提供。医師・薬剤師を対象とした漢方講座も行っている。