物忘れは漢方で対策! 物忘れの予防や原因、漢方薬の効果も紹介


「知っている人の名前が出てこない」「最近忘れっぽい」そんな悩みはありませんか? ちょっとしたことが思い出せない「物忘れ」は、年齢とともに気になってくるものです。漢方では、記憶をコントロールするのは脳だけではなく、内臓や全身の働きが深くかかわっていると考えられています。この記事では、物忘れの対処法や予防に加え、物忘れに用いられる漢方薬についても詳しく説明しましょう。

  1. 物忘れの基礎知識
  2. 物忘れセルフチェック
  3. 物忘れの対処法、予防について
  4. 物忘れと漢方について
  5. 物忘れに用いられる漢方薬について
  6. 漢方薬局で自分に合った漢方薬を手に入れよう
  7. 物忘れや漢方薬に関するよくある質問

この記事を読むことで、漢方における物忘れの考え方や対処法が分かります。ぜひ参考にしてください。

1.物忘れの基礎知識

物忘れは年齢を問わず誰もが経験するものです。加齢とともに記憶力が衰えるのは自然なことといえます。しかし、急に物忘れがひどくなった、約束そのものを覚えていないとなると要注意です。ここでは、物忘れに関する基礎知識を解説します。

1-1.物忘れとは

物忘れとは、覚えているはずの記憶を思い出すことができない状態です。記憶は「覚える」「記憶を蓄えておく」「思い出す」という3つのプロセスで成り立っています。この中の「思い出す」の機能が低下すると、知っているはずの人の名前が出てこなかったり、印鑑をしまった場所が思い出せなかったりするのです。

1-2.物忘れの原因は神経細胞のダメージ

新しい情報を記憶として整理する脳の器官を海馬(かいば)といいます。加齢によって海馬の神経細胞の数が減ったり機能が低下したりすると、記憶を呼び覚ますのに時間がかかり、物忘れが生じるのです。また、脳の血流が減少することも原因となります。血流が減少し、酸素不足によってダメージを受けたり強いストレスを感じたりすると、海馬の神経細胞が破壊されてしまうのです。
一方、糖尿病や過食・運動不足などにより血糖値が高い状態が続くと、記憶力が低下することが知られています。これは、脳に届くインスリンの量が減ることが原因です。これにより作業に必要な情報を一時的に記憶する「作業記憶」が保持できなくなります。買い物先で必要なものを買い忘れるのがこのタイプです。

1-3.「体験」を忘れる物忘れは要注意

「夕食に何を食べたか思い出せない」という場合は、単なる物忘れなので心配いりません。しかし、夕食を食べた体験自体を忘れてしまった場合は問題です。これは、記憶の第1段階である「覚える」ということ自体ができなくなっている可能性があり、認知症が疑われます。

1-4.関連する病気について

  • 軽度認知障害:物忘れの頻度が加齢に伴うものより増した状態。放置すると認知症に移行する可能性が高い。早期発見で対策をすることにより症状の進行を防ぐことができる
  • 健忘症:一定の期間、またはある事柄についての記憶がなくなる状態。20~30代の若年層にも見られる。単なる「ど忘れ」の域を超えて日常生活に支障が出ている状態を指す
  • うつ病:脳内伝達物質の減少で記憶力が低下する。記憶の一部が飛ぶ、数時間前に起こったことが思い出せないなどの記憶障害が起こる

1-5.子どもや若者にも物忘れはある

強いストレスや脳の血管障害などにより、若年層でも記憶障害になることがあります。物忘れに加えて、今日の日付や自分がいる場所が分からなくなる「見当識障害」が生じるのが、若年性認知症です。

2.物忘れセルフチェック

ここでは、物忘れの度合いを確認してみましょう。「よくある」「たまにある」「ほとんどない」の3段階でチェックしてください。

2-1.セルフチェック項目

  • 同じ話を何度も聞いたと周囲に指摘される
  • 知っている人の名前が思い出せない
  • ものをしまい忘れる
  • 知っている漢字が書けない
  • 今やろうとしていたことを忘れる
  • 家電の説明書を読むのが面倒
  • 身だしなみやおしゃれに関心がなくなった
  • 外出するのが面倒になった
  • 単純な計算ミスをしてしまう
  • ものが見当たらないと人のせいだと思ってしまう

結果は、「よくある」「たまにある」が数個程度なら心配ありません。「よくある」が半数以上の場合、医療機関での検査をおすすめします。

2-2.チェックリスト利用上の注意点

このチェックリストは認知症かどうかを医療的に診断するものではありません。結果は目安として利用しましょう。

3.物忘れの対処法、予防について

物忘れの自覚がある場合や予防したい場合について、詳しく見てみましょう。

3-1.主な治療法

「物忘れ外来」を受信し、認知症や軽度認知障害と診断されると、認知症の進行を遅らせる抗認知症薬が処方されます。薬を使わない方法として用いられるのは、過去の記憶を引き出す回想法や、正しい現実の認知を支援するリアリティ・オリエンテーション法などです。これらを併用して治療が行われます。

3-2.物忘れの予防法とは

生活習慣を見直すことは、物忘れを予防するうえで重要だと考えられています。日頃から以下の内容を心がけで見ましょう。

  • 血糖値改善:生活習慣を見直し、血糖値を正常に保つ。週2~3回の適度な有酸素運動・糖質をとりすぎない・野菜から先に食べるとよい
  • 睡眠の質を上げる:入眠時の90分間は眠りを妨げないようにし、6~7時間眠る。「寝ながらスマホ」は避け、起床時刻を固定する
  • ITに頼らない:「思い出す」という行為を怠らない。思い出せない漢字などをすぐに検索せず、自分で考えて思い出す癖をつける
  • 食生活改善:納豆(記憶力を強化)・きのこ(脳の老化を抑える)・魚(血液サラサラ)など、脳機能や血流改善によいといわれる食品をとる

4.物忘れと漢方について

現代医学と漢方では病気に対するアプローチが異なります。漢方では物忘れをどう捉えているのか詳しく見ていきましょう。

4-1.漢方における物忘れの考え方

物忘れは、現代医学では脳の疾患とされています。しかし漢方医学では、全身の状態を見ることが重視されるのです。
漢方では、体を大きく5つに分類し、それぞれが影響しあっていると考えられています。「肝(かん)」「心(しん)」「脾(ひ)」「肺(はい)」「腎(じん)」の五臓は、内臓の部位だけでなく、それぞれの機能や果たす役割も含めた分類です。さらに「気・血(けつ)・水(すい)」のバランスで体質を表し、「陰陽」で体のコンディションを表現することができます。

4-1-1.「血」の不足で「心」の機能が低下

「心」の機能が低下すると物忘れにつながると考えられています。「心」は血液を送り出すポンプの役目だけでなく、認知機能を含めた意識・精神活動をコントロールする器官です。心臓だけを意味するのではありません。
「心」が十分に機能を果たすために必要なのが「血(けつ)」です。「血」は全身に栄養を行き渡らせるほか、精神活動を支えるものと考えられています。「血」が不足すると認知機能の一部である記憶力の低下が生じるのです。

4-1-2.老化をコントロールする「腎」の弱り

「腎」が弱ると老化が進み脳を支えきれなくなります。そのため、脳が衰え物忘れが起こりやすくなるのです。慢性疲労や長期の病気による体力低下などでも「腎」は弱ります。そのため年齢に関係なく物忘れが起こるのです。

4-2.漢方治療のメリット、向いている人

漢方的に見ると、物忘れは脳だけの問題ではなく、全身のバランスとかかわっていることが分かります。よい栄養とエネルギーを全身に巡らせることは、物忘れの改善に加え、全身の体調を整えることにも役立つでしょう。
漢方では一人ひとりの体質や症状に合わせて漢方薬を処方します。子どもから大人まで、どんな人でも自分に合った漢方薬を作ってもらうことができるため、本来、向き・不向きはありません。あえていえば、今気になっている症状を治すだけでなく、体質改善をしたい人に向いているといえるでしょう。

4-3.注意点

漢方薬は、薬効のある植物の根や茎・葉などから作られています。化学合成が主流の西洋薬と比べて、一般的に効き目が穏やかです。ただし、自然原料なので副作用がないと思われがちですが、全くないわけではありません。漢方に詳しい薬剤師の指示に従って服用することが大切です。

5.物忘れに用いられる漢方薬について

中年以降の物忘れに効果のある漢方薬に「オンジ(遠志)」があります。オンジはイトヒメハギの根の部分を用いた漢方薬です。精神を安定させ知恵を増すといわれており、「心」の栄養状態を改善するのに役立ちます。ここではオンジが配合されている漢方薬を紹介しましょう。これ以外にも一人一人の症状・体質によって最適な漢方が処方されます。

5-1.加味帰脾湯(かみきひとう)

体力が中等度以下で心身が疲れ血色が悪いタイプに用いられる漢方薬です。消化器の働きを助けながら「血」を増やして不眠を改善します。「血」が増えることで「心」を栄養で満たし、十分に機能が発揮されるのです。

5-2.人参養栄湯(にんじんようえいとう)

体力が虚弱なタイプに用いられる漢方薬です。消化器の働きを高め、「気」と「血」の両方を補い、栄養を隅々まで行き渡らせます。加齢により食欲がおちた・疲れやすい・体力や筋力が低下しているという人は試してみるといいでしょう。

6.漢方薬局で自分に合った漢方薬を手に入れよう

前述のとおり、漢方薬は一人ひとりの体質や症状に合わせて処方することができます。ここでは、漢方薬局について説明しましょう。

6-1.オーダーメイドの漢方薬

自分に合った漢方薬は、医師による処方や漢方薬局でも手に入ります。漢方薬局は、漢方専門の薬剤師が一人ひとりの体質や体調、症状に合わせてオーダーメイドで漢方薬を調剤する専門店です。医心堂薬局では、使用した漢方薬の種類にかかわらず、煎じ薬は15日分11,340円、粉薬は15日分9,720円で調剤しています。

6-2.無料相談を利用しよう

初めて漢方薬局を利用する場合は、無料相談窓口のある薬局を選びましょう。医心堂薬局の無料相談では、気になる症状や体調の悩みをはじめ、生活習慣や食習慣など、日常生活や自己管理についても相談に乗ってもらえます。相談内容やプライバシーは厳密に守られるので安心です。

医心堂薬局無料相談窓口

7.物忘れや漢方薬に関するよくある質問

物忘れの改善や漢方薬に関する質問を紹介します。

Q.食前に飲む漢方薬を飲み忘れて食事をしてしまいました。どうしたらいいでしょう?
A.飲み忘れに気付いたら、気付いたときにすぐ飲んでください。食後であっても構いません。

Q.漢方薬を飲むと認知症が治るのですか?
A.いいえ。漢方薬のオンジ(遠志)は「中年期以降の物忘れ改善」の効能がありますが、認知症の治療や予防に効果があるわけではありません。

Q.漢方薬はどのように飲めばいいでしょう?
A.漢方薬は、煎じ薬といって煮だした液体を飲むものです。自分で煎じるのが難しい場合は、漢方薬局で煎じてもらうといいでしょう(参考:医心堂薬局 液体抽出パック)。煎じ薬のほかには、顆粒(かりゅう)状、粉末、錠剤などの形状があります。これらは水で飲んでください。

Q.漢方薬はどのくらいの期間飲めばいいですか?
A.10~15日で効果が現れます。治療期間は症状により変化しますが、4~6か月を目安とするといいでしょう。

Q.最近物忘れが増えました。医者にかかるほどでもありませんが気がかりです。
A.そんなときこそ漢方薬局に相談してみましょう。全身の状態を見て、どこを改善すべきか知ることができます。

まとめ

物忘れは誰にでも経験があるとはいえ、回数が増えてくると気になるものです。日頃の生活習慣を見直し、健やかな毎日を目指しましょう。気がかりなことがあれば、漢方薬局の無料相談を利用するのもおすすめです。

監修者

医心堂薬局 店主 佐竹康秀

佐竹 康秀
医心堂薬局 店主

薬剤師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師

星薬科大学を卒業後、漢方の道へ。同時に鍼灸の勉強も開始。平成4年に医心堂薬局を開局。漢方歴33年・鍼灸歴30年
「それは本当に患者様のためですか?」を常に考え治療をしている。

医心堂薬局総本店店 石川篤

石川 篤
医心堂薬局総本店 店長

薬剤師・日本漢方連盟会員・生活習慣病予防士

東京薬科大学卒業/漢方歴24年
「お客様の笑顔」を創出するため、漢方だけでなく食事・考え方など、一人一人に合ったアドバイスを提供。医師・薬剤師を対象とした漢方講座も行っている。